【食品メーカー分析】不二製油G(2607)ってどんな会社?

銘柄分析

食品業界を支えるBtoBの黒子企業「不二製油」を紹介します。

不二製油って何の会社?

不二製油(株)は不二製油グループ本社(株)の中核企業で、主に以下4つの事業を柱としています。

1.植物性油脂事業

2.業務用チョコレート事業

3.乳化・発酵素材事業

4.大豆・加工素材事業

2021年3月期の決算数値を基に各セグメントの状況を説明していきます。

植物性油脂事業

売上高984億(構成比27%)、営業利益78.72億(構成比44%)

食用加工油脂、チョコレート用油脂、食用油、ヤシ油などの製造販売をする事業でグループの営業利益の44%を稼ぐ事業です。製菓製パンメーカーや外食・冷凍食品メーカーなどがユーザーになります。同業他社はADEKA、Jオイルミルズなど。

業務用チョコレート事業

売上高1624億(構成比44.5%)、営業利益76.8億(構成比42.9%)

業務用チョコレートとは、そのまま食べるチョコレートとは異なるものです。アイスのコーティングチョコやスポンジケーキの練りこみ、スイーツの上掛けチョコソースなど・・・形も固形からチップ状、液体状など様々です。こちらはグループ1の売上を誇る事業になります。同業他社は森永商事、大東カカオ、正栄食品工業など。

乳化・発酵素材事業

売上高851億(構成比20.5%)、営業利益30.18億(構成比16.8%)

クリーム、マーガリン、ショートニング、チーズ風味素材などの製造販売をする事業で三番目に大きな柱です。植物性原料にこだわったホイップクリームなども取り扱っています。同業他社はカネカ、ADEKA、ミヨシ油脂など。

大豆加工素材事業

売上高353億、営業利益31.69億(構成比17.7%)

不二製油といえば大豆ミートというほどイメージが定着してきました。各種メディア(2021年2月4日放送テレビ東京「カンブリア宮殿」など)で取り上げられてからさらに認知度も上がっていると思われます。昔は全く儲からない事業だったそうですが、開発を継続しようやく時代が追い付いてきた感があります。同業他社は日清食品、昭和産業、日本新薬など。

幅広い事業内容、稼ぎ頭は?

以上のように不二製油は4つの大きな事業を国内外で幅広く展開することで安定した収益をたたき出している企業です。

【セグメント毎の営業利益率】

・植物性油脂事業「8%」

・業務用チョコレート事業「4.73%」

・乳化発酵素材事業「4.34%」

・大豆加工素材事業「9.22%」

どの事業が一番効率的に稼いでいるかというと、大豆加工事業です。営業利益率はその事業の強さや業界での優位性を表すものですので、これだけ稼げているのは「不二製油にしかない大豆製品」で替えがきかないから「高くても売れる」ということではないでしょうか。赤字事業がやっと花開いた瞬間ですね。

今後の見通し

いい事ばかりではありません。今期はその大豆自体の穀物価格が急騰しており、大豆を原料とした加工メーカーの利益を圧迫している状況です。不二製油の場合、大豆の価格が高騰すると大豆加工品だけでなく、大豆油を使用した植物油脂製品にも影響します。製品の値上げが急務な状況ですが、デフレの進んだ日本では流通大手の力が強く、メーカーの思うように価格改定が進まない場合が多いのです。

会社予想では今期(2022年3月期)の営業利益は180億と前期の179億とほぼ同水準となっていますが、足元では株価が低迷しています。会社発表の悪材料がないにもかかわらず株価が低迷しているのはこういった利益予想をどこかで下方修正する事を見越しているのかもしれません。2021年8月5日に第一四半期決算発表が行われますので、そちらを注視していきたいと思います。

穀物相場の高騰については長くて書ききれませんので、別の記事でもう少し突っ込んで書いていきたいと思います。

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